豪ドル/円相場は、80円台中盤まで値位置を切り上げる展開になっている。欧州不安を背景としたパニック的なリスク回避の動きが一服する中、豪ドルに対してはショートカバーが先行している。特に積極的に豪ドル相場を買い進む材料は見当たらないが、過熱していた豪国債買いの動きが巻き戻されていることで、豪金利の上昇がそのまま豪ドルに対する安値是正の動きに直結している。
6月19日には、5日に開催されたオーストラリア準備銀行(豪中央銀行)金融政策決定会合の議事録が公表されたが、特に決め手となるような内容は見られなかった。世界経済見通しが悪化する一方、豪州経済は持ち堪えているとの「微妙に均衡の取れた」議論が報告されているが、今後の金融政策見通しに影響を及ぼすような内容は確認されていない。「インフレが今後1年程度は目標レンジの低い領域に留まるとみられる」との文言は追加刺激策が可能なインフレ環境にあることを示しているが、「最近の国内指標は害して、1年前の予想と比べて状況の大幅な悪化を示唆していない」との文言は、特に追加緩和の緊急性を示していない。今後の金融政策見通しに修正を迫るような内容はなく、マーケットでは余り材料視されていない。
引き続き、豪経済よりもリスク投資全体の地合が重視され易い相場環境にある。ギリシャの再選挙では緊縮財政派が過半数を獲得したことで、最悪のシナリオは回避された形になっている。また、19日のスペイン債入札では、同国が依然として資金調達力を維持していることが確認でき、リスク資産売りの動きは小康状態になっている。もっとも、最近の豪ドル高は行き過ぎた豪国債買い(豪金利低下)の反動という意味合いが強く、その持続性については疑問視せざるを得ない。再び豪ドルの上値が徐々に重くなる方向でみている。
今後1週間の予想レンジは、79.50~81.25円。